一時的なストレスや心配事があったり、徹夜作業などで生活リズムが乱れたことによる不眠は数日で改善されることが殆どです。しかし慢性的に眠れない状態が続くと、体調不良につながり日常生活へ影響が出てしまいます。疲れが取れず、食欲低下や気分の落ち込み、集中力低下などが見られたら不眠症の状態です。
不眠によるストレスから脳内ホルモンのバランスが崩れ、不安・イライラ・抑うつ・怒りっぽいなどメンタル不調が生じるようになります。1日4時間半ほどの睡眠状態が5日続くと、うつ病や統合失調症などの患者と似た脳機能の変化が見られ、不安・混乱・抑うつ傾向が強まるという研究結果も出ています(国立精神神経医療研究センター研究)
病院で「ねむれていますか?」と聞かれるのは、今の心身の状態を知る手掛かりとしているからです。
・睡眠を促すホルモンはメラトニンといい暗くなると分泌が増えてきます。メラトニンとセロトニンは拮抗関係にあり、セロトニンは太陽の光を浴びることで増えてきます。日中のセロトニン分泌量が多いと夜間のメラトニン量も増え、より睡眠効果が得られやすくなります。うつ病などではセロトニンの量がより少ないため、結果として充分な睡眠がとれないという悪循環になってしまうのです。
不規則な生活スタイルからくる不眠などは、規則正しい生活に切り替えることよって改善は見込まれますが、不安や心配、抑うつなどの精神的な病状の一つとして見られている不眠は、生活スタイルの見直しだけでは難しいため内服治療も必要となってきます。不眠のタイプ・要因は個々人によって様々であり、内服薬も症状に応じて処方するため、現在の睡眠状況をできる限り詳しく医師に伝えることは大切です。